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「先輩…………俺の顔、好きなんですか?」
は??
え???
もしかして…………
「うそ……!? もしかして僕、口に出してた??うわごめんねセクハラ……」
「いえ、嬉しいです………」
「そ、そう言って頂けると……」
やっぱり僕、口に出してたのか……緩んでいたのは顔だけではなかったようだ。
試験が終わった解放感にしたって、ちょっと浮かれ過ぎてて恥ずかしい。
「先輩、」
しどろもどろになっている間に、いつのまにか真鍋が目の前に立っていた。
「俺の顔、好きですか?」
「え……うん……」
「俺、先輩に褒めてもらえるなら何でも嬉しいです」
「そっか………」
確かについつい眺めちゃうぐらいには好きだけど。
そんなこと言ってもらえるなんて、僕も先輩冥利に尽きるんだけど。
いや、でも、肩に手が置かれたこの距離感は………
「俺は、先輩が好きです」
「好きな顔」が目の前に近付いたのに気付くが早いか、視界が狭まり未知の感覚に襲われる。
あれ? 今、何してたっけ?
なんだかふわふわするのはなんでだろう……?
ああ、これ缶チューハイのピーチ味だ…………
唇が解放されてはっと気が付くと、三白眼が真っ直ぐ僕を見ていた。
「もっと俺のこと、見て下さい」
あ……やっぱり顔がいい。
僕の思考は置いてけぼりで、条件反射で身体が勝手に頷いた。
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