3.第2の性

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3.第2の性

「うん……確かに僕はDomだけど、気付いてたんだ」 「…………先輩、たまにグレア出てるんで」 「うそ……!? ほんとごめん!」  ああ、なんだか今日は謝ってばかりだ。  しかも無意識にグレアを出していたなんて、Domとしてもダメダメ過ぎる。 ***  そう、僕の第2の性はDom――本能として支配したい欲求を持つ――と呼ばれているものだ。  そしてDomと対となる存在が、Sub――本能として支配されたい欲求を持つ――と呼ばれる性である。  グレアとは、支配する相手や敵対する相手にに向けられる感情の波のようなものであるが……言うなればフェロモンにも似たものであり、本来はDom自身がコントロールすべきものであって、ところ構わず出して良いものでは決してない。  一般的にDomとSubは、決まったパートナーとの支配関係でお互いの欲求が満たされると言われている。  そこに恋愛関係や身体の関係はなくてもいいし、あれば一石二鳥でなお良し、といったところだろうか。  しかし、人口の8割以上はNormalと呼ばれるDomでもSubではない者ばかりで、そんなに簡単に同士が見つかるわけでもない。  とはいえ体質として第2性の欲求が強いのにパートナーがいない場合などは、抑制剤やマッチングなどで解消させる方法は、一応ある。  幸いなことに、僕は支配欲と……なんなら性欲だって淡白なので、それほど日常生活で困ることはない。  つまり僕にとっての第2性は重要ではなく、なんなら目立たず気付かれないようにすべきものだったはずなのに。
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