お詫び

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 粗品? 粗品がもらえるのか? と健次郎は思った。ショップのひとが勝手に間違えただけで、なにかもらえるなんてお得じゃないか。いや、いやいや。健次郎は被りを振った。このショッピングモール全体を見回しても、俺の欲しい物はありそうにないのだ。粗品だって、もらっても迷惑するような代物に違いない。 と、ここでまた店内アナウンスが流れる。 「お客様のお呼び出しを申し上げます。先ほど、二階眼鏡店ルーベラにて眼鏡をご購入いただきましたお客様、2時半に商品をお渡しする予定でしたが、度数を間違えてしまいました。ただいまお作り直ししておりますので、あと30分ほどお待ちいただけますでしょうか。大変ご迷惑をおかけいたします。深くお詫び申し上げます。お詫びの印にお好きなサングラスをおひとつ差し上げますので、なにとぞご容赦くださいませ」  なに?! サングラスがもらえるのか?! それもお好きなやつがもらえるのか?! これはいくらなんでもおいしいのではないかと、健次郎は思った。お店のひとが勝手に度数を間違えて、たかだか30分余計に待たされるくらいで、サングラスがひとつもらえるなんて、これはどう考えてもお得ではないか?
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