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指先の震えが、徐々に全身に広がっていく。陽羽は目に見えるくらいに震えながら、それでも私に向かって笑ってみせた。
「千鶴、今すぐ警察に電話して……、心配しないで、あなたに迷惑をかけないから。ここで起きたことを、ありのままに話すだけだから。ごめん、こんなことに、巻き込んで、しまって……」
言葉にならない思いがあふれて、私は陽羽に抱き着いた。彼女の震えを一緒に体感しているうちに、憐憫の感情があふれてくる。
かわいそうに。
ごめんなさい、こんな怖い思いをさせて。
あなたはなにも悪くない。
ただ、私を守ろうとしてくれただけなんでしょう?
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