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「お前なあ、ハメを外しすぎるなよ。飲みすぎて吐くとか最悪だぜ」
「オレがそこまで子供っぽい真似すると思います?」
「いいや……」
式の帰りに同級生と少し飲んで、そのまま直行したのだろう。
もっともこいつの本音としては、まっすぐに店に来たかったのだろうが。
「スーツ似合ってるぜ」
「先生も相変わらず綺麗です」
「もうその先生っての止めようぜ。名前でいいよ」
「じ、じゃあ、篠川さん」
「名前でいいって言っただろ、柴田ぁ」
「……ずっと逢いたかったです、織弥さん」
まったく、このクソガキは――。
クソ真面目に三年間待ちやがった。
高校生のときよりも少しだけ大人びた柴田直樹は、立派に成長していた。
不本意ながら俺の心が、身体が、柴田を見た途端に熱くほてり始める。
お預けを喰らっていたのは柴田じゃなくて、この俺のほうだったらしい。
――良い男になりやがって。
「俺も逢いたかったよ、直樹……」
グラスを重ね合わせたとき、三年間の空白がすべて埋まったような気がした。
了
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