微熱未満の恋

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 柴田の様子をうかがうと、絵に描いたように頭を抱えていた。 「どうした?」 「頭パンクしそうっス……」 「考えすぎてか?」 「俺は、俺はどうしたらいいんですか」 「どうもこうも断られたらそこで終わりだろ」 「先生はフラれたことないからわかんないんスよ」 「……そうだな、フラれたことはない」 「自分から告白したことは?」 「それもない」 「てか先生、そもそも今付き合っている人いるんスか?」 「なんでお前にそんなことまで教えなきゃならないんだ」 「誰とも付き合っていないなら俺だって!」 「そういう問題じゃないってさっきも言ったろ」 「てか先生男もイケるんですか?」 「ああ?」 「いや先生、女より超綺麗だし、オレ簡単に抜ける……」 「おいおいおいおいそれ以上言ったら生活指導にチクるぞ」 「すんません」 「反省してんのか?」 「反省してます」 「何を反省してる?」 「えっと……デリカシー? のない発言しっちゃってすみませんでした」 「それだけか?」 「あと抜いたこと?」 「抜いたのかよ、この俺で。よく抜けるな」 「ほんとすみません」  柴田はガバりと床に手をつき、額がこすれるくらいに土下座をした。  今時、土下座かよ。  ここは俺が折れるしかないのか?  まったく、面倒なクソガキに好かれたものだ。
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