微熱未満の恋

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「俺がこんなとこいちゃ悪いのか、柴田」 「歌舞伎町っスよ! 治安悪いじゃないですか」 「そういうお前はどうなんだ。学生だろ。クソガキが来る場所じゃねえぞ」 「この辺でバイトしてるんスよ。金稼ぎたいんで」 「おいおい、うちの学校はバイト禁止だろ」 「あ」 「まあ、お互い見なかったことにしようぜ。また学校でな」  軽く手を振り、俺は柴田をやり過ごそうとしたが、その手をぐっと握られた。 「先生、ホモなんスか?」 「それが?」 「ホモならオレと付き合ってくれてもいいでしょう。なんでオレじゃダメなんですか」 「柴田ぁ……」  素人相手にキレてはいけないと理性ではわかっていた。 「お前な、この俺と付き合いたいとぬかしながら、ホモだと?」 「ホモじゃないですか」 「最低だな。蔑称っての知らないのか?」 「えっ……」 「多少はお勉強してから口説きに来いや、クソガキ」  俺は柴田の手を振り切り、雑踏の中に身を隠した。
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