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母 赤ずきんや。
おばあさまが病気で臥せってるらしいから、
お見舞いに行ってきておくれ。
赤 お母さまが自分で行けばいいじゃない。
母 そんなことしたら、ババアに勘付かれてしまうだろう?
赤 …私、お見舞いに行くのよね?
母 もちろんだとも。
赤ずきんは「何も知らなかった」とシラをとおすんだ。
さぁ、これが、例のぶどう酒とケーキだ。
赤 …普通のぶどう酒とケーキに見えるけど。
母 その通りだ。お前は、本当にいい子だね。うまくやるんだよ。
赤 (もしかして毒でも入っているのかしら…)
【おばあさまの家】
赤 おばあさま。赤ずきんです。お見舞いに来ました。
婆 あぁ、よく来たね。赤ずきんや。
もう、体の方はすっかり調子がいいんだよ。
赤 まぁ!おばあさまったら、相変わらずキレッキレの肉体美。
腹筋グレネード!肩メロン!背中に鬼が宿ってる!
婆 ほっほっほ。
わたしが病気で臥せってると耳にした刺客が
今がチャンスとばかりにやってくるんでね。
病気だというのに休む暇もなかったよ。
ところで、おまえは誰の差し金でお見舞いに来たんだい?
赤 (話を遮って)
あの、これお見舞いの、ぶどう酒とケーキです。
でももう、お元気そうなので、食べなくてもいいですけど!
婆 あらまぁ、美味しそうじゃないか。
ほっほっほ。全く、あの女の考えそうなことだよ。
せっかくだから、一緒に食べていきなさいな。
赤 えっ、いや、それは…あの…もう、私、帰らないと。
婆 どうして赤ずきんは、そんなに時間を気にしているんだい。
赤 そ、それは…帰りが遅くなると、お母さまが心配するから。
婆 どうして赤ずきんは、
ぶどう酒とケーキに手を付けようとしないんだい。
赤 いまは、おなかが空いていないのよ。
婆 どうして赤ずきんは…さっきから嘘をついているんだい?
赤 …!
狼 じゃーん!ここで狼がかっこよく登場!
ババア、生きてるー?お見舞いに来てやったぞ!
婆 あら、狼じゃないか。よく来たね。
いよっ!ナイスバルク!
狼 ババアも、キレてるキレてる!
…って、やだ、赤ずきんが来てるじゃん!
邪魔しちゃった?ごめん!
赤 あっ、いえ、私は、もう帰りますので!
狼 えっ?なんで?
赤 あの、ぶどう酒とケーキもあります。
良かったら、おばあさまと一緒に召し上がってください。
狼 待ってよ、そんなこと言わないでさ。
ババアの快気祝いなら、人数多い方が良いじゃん。
いま、狩人も呼ぶから。
…あ、もしもしー狩人?筋肉仕上がってるー?
婆 あらまぁ、せっかくだから、新しいプロテインを開けようかね。
赤 (どうしよう…食べないと帰れない…泣)
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