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三枚目 キョウ
カガミが目を覚ました。
真っ先に目に飛び込んできたのは、自室のものではない天井。
手元には、あの宝物の手鏡の姿はなかった。
「かっっっった! なによこのベッド、硬い! 体痛っっっった!」
珍しく、カガミが大声を出した。
「もぉ〜なによここ、せっまい部屋ね。なんかカビ臭いし、最悪だわ」
文句を言いながら、目の前の重そうな扉へ向かう。
ギィ……と音をたてながら、扉が開く。
「よお、お前がカガミか。これからよろしく」
扉を開けた先には、無愛想な男の子が居た。
カガミと正反対の銀髪、紅目。切れ長の目とスっと通った鼻筋の、所謂イケメンな顔立ち。それなのに何故か、寝癖を直し忘れたような髪型。
「アンタ誰よ。私の名前を知ってるから知り合い? でも、アンタみたいな整った顔、一度会ったらそうそう忘れないと思うんだけど......」
顎に手を当て、考え込むように少し下を向くカガミ。
「まあ、知り合いかっつーと違うな」
男の子が続ける。
「俺はキョウ。これからお前と一緒に、この世界を冒険する仲間ってとこだな」
男の子――キョウは、何故か得意気に言った。
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