四枚目 ミラミラ

1/2
前へ
/7ページ
次へ

四枚目 ミラミラ

「ちょっと……何処まで行くのよ……少しくらい止まってくれても良いじゃない……」  息も絶え絶えにカガミが言った。 「いいから着いてこい。そしたら休ませてやるから」 「嘘じゃないわよね?」 「嘘なわけねーだろ。お、ここだ。着いたぞ」  二人の眼前には、大きく美しい洋館がそびえ立っていた。 「おーい、俺だ、キョウだよ。開けてくれー」  キョウが大きな声で洋館に呼びかけると、洒落たデザインの門がゆっくりと開き始めた。 「アンタお坊ちゃんなの?」 「俺の家じゃない。知り合いが住んでんだ」  キョウは再びカガミの手を引き、ズカズカと洋館に入っていった。 「おーいミラミラー。早く出てこいよ、カガミ連れてきたんだから」  談話室の様な部屋で好き勝手にくつろぐキョウは、ひっきりなしに「ミラミラ」なる人物を呼んでいる。 「ねえ、誰なの? その『ミラミラ』って」 「俺のダチ」 「どんな人?」 「人じゃない」 「は?」 「やあやあお二人さん、待たせたね!」  キョウとカガミが声のしたほうを振り向くと、そこには白い(もや)のようなものがかかっていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加