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四枚目 ミラミラ
「ちょっと……何処まで行くのよ……少しくらい止まってくれても良いじゃない……」
息も絶え絶えにカガミが言った。
「いいから着いてこい。そしたら休ませてやるから」
「嘘じゃないわよね?」
「嘘なわけねーだろ。お、ここだ。着いたぞ」
二人の眼前には、大きく美しい洋館がそびえ立っていた。
「おーい、俺だ、キョウだよ。開けてくれー」
キョウが大きな声で洋館に呼びかけると、洒落たデザインの門がゆっくりと開き始めた。
「アンタお坊ちゃんなの?」
「俺の家じゃない。知り合いが住んでんだ」
キョウは再びカガミの手を引き、ズカズカと洋館に入っていった。
「おーいミラミラー。早く出てこいよ、カガミ連れてきたんだから」
談話室の様な部屋で好き勝手にくつろぐキョウは、ひっきりなしに「ミラミラ」なる人物を呼んでいる。
「ねえ、誰なの? その『ミラミラ』って」
「俺のダチ」
「どんな人?」
「人じゃない」
「は?」
「やあやあお二人さん、待たせたね!」
キョウとカガミが声のしたほうを振り向くと、そこには白い靄のようなものがかかっていた。
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