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駅前のブックカフェに行ったなつのは、まずカフェエリアに向かった。
茶系で統一された雰囲気あるカウンター。
その向こうに見える、ウェーブのついた茶髪をゆったりまとめているその後ろ姿には見覚えがあった。
「亜紀ちゃん」
「お、なつのじゃないか」
ちょっと祭里にも似た口調の亜紀が振り向いて笑う。
亜紀が着ているのは、ごく普通の白いブラウスと店のロゴの入った茶色いミドル丈のエプロンなのだが、店の雰囲気のせいか、亜紀が着ているせいか、とてもおしゃれに見えた。
「みんないらっしゃい。
お、仁岡くんも来たのか。
相変わらず、いい男だねえ」
そう言い笑った亜紀の側に店員らしき若い男がやってくる。
「亜紀さんのお知り合いですか?」
とこちらを見て上品に微笑む。
祭里たちが叫んだ。
「誰っ? めっちゃイケメンッ!」
「大人のイケメン、イケボだよっ。
仁岡が、かすんで見えるっ」
岡田と名乗る彼は落ち着いた印象で端正な顔をしていた。
祭里たちはすっかり彼に心を奪われているようだった。
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