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や、やばい。
本棚の陰になにかいるっ。
黒い人影のようなものがこっちを見てるっ。
なつのは、ちょっぴり霊が見えるのだ。
いつもじゃくて、たまにこうして、波長があったときだけなのだが。
ひーっ。
亜紀ちゃんっ、となつののこうした体質を知っている亜紀を振り返ったが、亜紀はお客さんと話していてこちらを見てはいなかった。
黒い影は、なつのの方を向いたまま、まだそこにいる。
ロックオンッて感じだ、となつのは青くなった。
あっ、そうだ、うさぎっ。
クッションなのに、しゃべれるくらいだ。
なにか不思議な力を持っていて、それでやっつけてくれるに違いない、となつのは思ったのだが。
膝にのせているうさぎのクッションは、意外に人目を気にするタチなのか。
翔に話しかけても聞いてもらえなかったのが、まだこたえているのか、沈黙したままだった。
うさぎーっ。
悪魔っぽいくせに、役立たずーっ、となつのが思ったとき、
「お待たせしました。えーと、キャラメルラテは誰かな?」
とトレーを手に岡田が現れた。
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