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「先生、入学式までにあそこの花の植えかえの指揮をとらなきゃいけなかったみたいなんだよね。
この高校の前、小学生や中学生も通るし。
みんなが見るからいいだろうって校長先生が」
入学式にはいつも、桜散っちゃってるからね、と岡田がその桜色の花を見上げて言う。
「先生、生徒たちを従えて、一気にやろうと思ってたみたいなんだけど。
ほら、あのホームセンター、なんでもあるじゃない。
花の植えかえ用のスコップとか柵とか見に言ってたみたいなんだよ。
でも、あの事故にあって、意識不明になって。
だけど、完璧主義で、なんでも、きっちりしないと気がすまない人だから、先生。
なんとかして、入学式までに花の植えかえをっ、と思う一念で、近くにあるモノにのり移ってみたら、
……うさぎのクッションだったんだろうね」
と岡田は笑う。
我に従えって、いっしょに花を植えかえろってことだったのか。
もしや、従っていれば、そのうち、いいことがあるって、花が咲くってことだったのかな?
となつのは笑う。
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