さようなら、うさぎさん

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  「仁岡ー」  中学校にはまだ慣れないけど、通う道にはちょっと慣れてきた頃。  なつのは前を歩く仁岡に気づき、追いかけた。  ブレザーの制服を着た仁岡は高校生くらいに見える。 「おはよう、仁岡。  陸上部入ったんだって?  翔くんと一緒に」 と言うと、 「……悪いか?」 と仁岡は睨むように言ってくる。  部活に入ることは強制ではない。  集団に属するのがめんどうくさくて、スポーツ万能なのに、スポーツ少年団にも入らなかった仁岡もずいぶん変わってきたようだ、となつのは感心する。 「悪くないよ」 と言って、ふたりで並んで歩き出した。  仁岡からは自分と同じ、新しい制服の匂いがする。 「仁岡、制服似合うね」  長身で肩幅がある仁岡を見上げながら、なつのが言うと、仁岡は、 「……どうした急に」 となぜか攻撃でも受けたような顔をして言ってきた。
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