582人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
「仁岡ー」
中学校にはまだ慣れないけど、通う道にはちょっと慣れてきた頃。
なつのは前を歩く仁岡に気づき、追いかけた。
ブレザーの制服を着た仁岡は高校生くらいに見える。
「おはよう、仁岡。
陸上部入ったんだって?
翔くんと一緒に」
と言うと、
「……悪いか?」
と仁岡は睨むように言ってくる。
部活に入ることは強制ではない。
集団に属するのがめんどうくさくて、スポーツ万能なのに、スポーツ少年団にも入らなかった仁岡もずいぶん変わってきたようだ、となつのは感心する。
「悪くないよ」
と言って、ふたりで並んで歩き出した。
仁岡からは自分と同じ、新しい制服の匂いがする。
「仁岡、制服似合うね」
長身で肩幅がある仁岡を見上げながら、なつのが言うと、仁岡は、
「……どうした急に」
となぜか攻撃でも受けたような顔をして言ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!