あやしいうさぎが現れた!

3/6
581人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
「う、うさぎがしゃべったっ?」  いや、そんなバカなっ、と思いながら、なつのはマジマジとうさぎのクッションを眺める。  この間、可愛い雑貨もあるホームセンターで買ってきたクッション。  ざっくりとうさぎっぽい形のクッションに、うさぎの絵がプリントされているだけのもので、その口は開きそうにもなかった。  驚くなつのの目の前で、うさぎがまた、しゃべり出す。 「なつのよ。  これはお前の妄想だ。  だから、安心して、我に従え」  なんだろう。  可愛いうさぎなのに、このしゃべり方。  まるで、この間読んだ怖いお話に出てくる悪魔みたいなんだが……。 「中学校か。  ドキドキするな。  うさぎさんに勇気づけてもらおうって思って買ったのに……」 「世の中そんなにあまくはないぞ、新中学生。  っていうか、うさぎに話しかけようというところからして、お前はまだまだ子どもだ。  子どもなら、子どもらしく、さっさと宿題……」  ひっ、とうさぎのクッションが息を呑んだ。  うさぎがごちゃごちゃ言っている間に、なつのが一階に下りてゴミ袋を持ってきたからだ。 「そっ、それでなにをする気だっ」
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!