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「う、うさぎがしゃべったっ?」
いや、そんなバカなっ、と思いながら、なつのはマジマジとうさぎのクッションを眺める。
この間、可愛い雑貨もあるホームセンターで買ってきたクッション。
ざっくりとうさぎっぽい形のクッションに、うさぎの絵がプリントされているだけのもので、その口は開きそうにもなかった。
驚くなつのの目の前で、うさぎがまた、しゃべり出す。
「なつのよ。
これはお前の妄想だ。
だから、安心して、我に従え」
なんだろう。
可愛いうさぎなのに、このしゃべり方。
まるで、この間読んだ怖いお話に出てくる悪魔みたいなんだが……。
「中学校か。
ドキドキするな。
うさぎさんに勇気づけてもらおうって思って買ったのに……」
「世の中そんなにあまくはないぞ、新中学生。
っていうか、うさぎに話しかけようというところからして、お前はまだまだ子どもだ。
子どもなら、子どもらしく、さっさと宿題……」
ひっ、とうさぎのクッションが息を呑んだ。
うさぎがごちゃごちゃ言っている間に、なつのが一階に下りてゴミ袋を持ってきたからだ。
「そっ、それでなにをする気だっ」
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