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仁岡が現れた!
「ねえ、うさぎさん、なんで急にしゃべり出したの?」
道を歩きながらそうきいたが、うさぎは黙っている。
「……うさぎさん? 死んだの?」
「私はクッションだっ」
とうさぎはしゃべり出す。
「お前はバカなのか。
道端でクッションにしゃべりかけるやつがあるか。
私は常識があるから、話しかけられてもしゃべらないがなっ」
いや、常識があるクッションはそもそもしゃべり出さないと思うんだけど、と思ったなつのは足を止めた。
目の前に、おとなびた顔立ちの背の高い男子がいたからだ。
なつのの幼なじみ、仁岡塔也だった。
うさぎと自分を見ている。
なつのは無言でうさぎを振り上げた。
「……なにをする」
といつも冷静な仁岡がその手を止める。
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