good night kiss

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 決定的な要因があるかと問われれば首を振る。    例えば、バイト先の社員さんが今日も理不尽なことで私を叱ったこととか、サークル仲間と新年会をするのが今週末に迫っているのにグループラインは既読が付くばかりで何も決まらないこととか、弟が受験に関していつまで経っても本気にならないのに親は見守ってばかりで、結局私が口うるさく言わなくちゃならないこととか。  それなりに人並みにストレスを抱えていると思うけれど、それ以上でも以下でもないような気がする。 「なのに、どうして……」  私はどうしようもなく疲れてしまったのだろうか。  怯懦な性格ゆえに思ったことを言えないから?口にするのすら疲れてしまったから?  「もっと人に甘えていいんだよ」と言われても、長女として育ってきた私は甘え方なんてよく分からない。どうやって人に甘えればいいんだろう。どこからが甘えで、どこからが我が儘なの。誰に甘えればいいの。  結局誰かに自分を評価されるのが怖くて、「甘えは弱さだから」と無理矢理理由づけて一人で立とうとしてしまう。だってこうするのが一番だと思っているから。私さえ飲み込んでしまえば、波風を立てなくて済むのだ。  いつから弱さを人に見せまいと意識し、自分を鼓舞するようになったのか、自分でも分からなかった。  本当は私だって甘えられるのなら甘えてみたい。誰かに頼ってもいいのなら加減なんか気にせず思いっきり甘えてみたい。甘えられない自分があまりに可愛げがないのは分かっているから、それがとても悲しく感じる。
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