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その今川家は、武田の防衛網によって軍備増強の呪縛から逃れた上、当主今川氏真が執政官としての高い資質を開花させて、駿府を関東・甲信越の物産が集まる日本屈指の一大商業都市に育て上げた。人口も三十万人を超えなおも膨張し続けている。
氏真は勝悟の助言により、増え続ける人口の戸籍管理を徹底し、所得税を儲けることにより、商業都市の財政モデルを作り上げた。もちろん所得は申告制だが、現代張りの税監査機能を充実させることにより、公平で安定した財政基盤を確保している。
もちろん、税収に見合う福利厚生も充実させ、特に医療に関しては手厚い支援サービスを充実させたので、より人口増加に拍車をかけた。
氏真はこうした施政に対する天賦の才が有り、何よりも民を愛する気持ちが人一倍強かったので、不正が少ないクリーンな政府ができあがった。
「今や駿府の専売所と今川からの軍事協力費で、我が武田の蓄財は二千万両を超えた」
甲州金二千万両は、現代の貨幣価値で言えば十兆円を超える。
「今川は今後も毎年一千万両を超える協力費を約束し、専売所から上がる利益も破竹の勢いで上昇している。さらなる版図拡大に向けて準備は十分に整った」
諸将が思わず息を飲む気配で、周囲に異様な緊張感が漂う。
いよいよ次の攻略目標が発表される。
北の上杉か、それとも西の織田、徳川か――いずれも武田に負けない超大国だ。
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