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俺の中でアンドロイドとは自律的に動く機械ってイメージがあるだけに、魔生物と一緒で野良のアンドロイドが、妖精王の霊力だかなんだかで地面から湧いて出てきたと考えるのが自然なのだ。
頭おかしいんじゃねぇの、と思われるかもしれない。でも実際久三男が自立して動く、人間に限りなく近いアンドロイドを作れているから、そんなのがいてもおかしくないと考えてしまう。目の前の二人はそうじゃないだろうけど。
「ブルーの言うとおり、アレは魔生物じゃない。戦闘を目的に作られたロボットだ。誰かが操縦してると考えるのが妥当だし、ぶっ壊したあたり中には人がいなかった。遠隔操作の線が濃厚だな」
「だとしたらせんもんがいだぜ。あっしはませーぶつせんもんだーから」
「なら、こんなときのむーさん辞典だ。むーさん、何か知らないか?」
ポンチョの隙間から黒光りした百足が姿を現す。いつもと打って変わって小型のままだが、金切音だけは歪に大きい。
「なんでもかんでもしってるとおもうな、だって」
「むーさんでも知らないのか。そりゃ困ったな……」
頭をかいて、気だるげに天井を見つめる金髪野郎。
知識の源泉たる百足すら知らない、アンドロイド。アレは所々が朽ちて腐っていた。元々はもっと綺麗なボディをしていたのだろうが、カビやら泥やらで汚れ、朽ちているところからしてかなり年季が入ったもののようにも思える。
どれぐらい年季が入っているのかは、俺にも分からない。そもそもな話、あのロボットが何なのかすら、分からないくらいである。百足野郎やポンチョ女、金髪野郎がメカ関係に疎いように、俺らもそこらへんは門外漢なのだ。
素人の俺ではどれだけ頭をこねくり回しても浅い仮説しか立てられない。ロボットとかそういうのは、専門職の久三男に相談するのが無難なのだ。
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