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「偶々俺らが出くわした機体だけだったならまだ良かったが、既にこの支部の連中も何人かやられてる。つまり、俺らが出くわした機体とは別の機体もどこかに潜んでるわけだ」
「であれば、他の支部に確認をとってみるというのは? 監督という立場を使えば可能だと思うんですが」
「まあな。つってもそういうのって時々トラブルの元だから慎重にならんといかんのだが……」
「なんでだ? 情報共有は大事なんじゃねぇのか?」
「ごもっともな意見痛み入るぜ。でもな、世の中そんな優しい奴らばっかじゃねぇのさ」
これまた深いため息をつきつつ、ソファに深くもたれかかる。他の支部に連絡しづらい理由を、苦い表情で語り始めた。
結論から言うと、各支部にいる監督同士が連絡を取り合うこと自体はできるらしい。だが情報を他の支部と共有するってことは、自分だけが持っている情報を、他の支部に渡してしまうことを意味している。
情報ってのは時に単純なパワーなんかよりも重要な武器になる。独り占めできたら他の支部よりたくさん報酬がもらえると考えている自分勝手な連中が一定数いて、そういう奴が寄って集って監督役を脅し、他の支部に情報を行かないようにする事例が過去にあったらしい。
金髪野郎は腕っ節が強いから、そんな脅しに屈したりはしない。もし黙らせようものなら俺らと同じくらいの連中じゃないと無理だが、他の支部はどうか分からない。
多勢に無勢の場合も大いに考えられるので、もしも他の支部と連絡を取り合うなら、そういう身勝手な連中の圧力に屈しないくらい強い奴が所属している支部と情報共有をしないといけないわけだ。なんとも面倒くさい話である。
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