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「だったらそのマトモな奴が監督してる支部のアテはあんのかよ?」
「んー……あるにはあるが、ツラ合わせたことねぇし、相手が新人なんだよな。ちと不安があるんだ」
「新人? 誰だソイツ」
「少なくともお前らよりは古参だぞ。つい二、三ヶ月くらい前だったか……メキメキと頭角表してきた奴だ。確か、トト・タートとか言ったか」
「トト・タート!?」
聞き覚えのある名前に思わず席を立つ。俺の態度に面食らったのか、落ち着けよ、と手で制してくる。
トト・タートといえば、南支部を牛耳っている最強格。新進気鋭の新人で、超新星に因んで``霊星のタート``とかいう二つ名がつけられた請負人だ。
最強格なのは就職する前に聞いていたが、金髪野郎と同様、監督役も務めていたのか。
「まあソイツに聞いてみるのが妥当だろうな。東と西はちと面倒だし、とっつき易い方から当たってみるか」
俺らからは見えないが、請負証を開いて連絡を取ろうとしているのは目の動きで分かる。
金髪野郎の話だと、請負証を使えば霊子ネットを経由して請負人同士の通話ができるらしい。俺らがよく使う霊子通信と同じ原理だ。
久三男から色々教わっているし、実際に何度も使ったことがあるので、理屈は元より身体が覚えていた。
「部屋作った。入っていいぞ」
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