プロローグ:出撃の狼煙

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 澄男(すみお)たちが破壊したロボットのパーツを拾い集めていた頃。  彼らから約一キロメト離れたアパートの屋上、錆びた貯水槽の上に悠々と立つ女性は、まるで異なる皮膚同士を無理矢理縫合したように、歪な肌色を日に晒し、斜め下の沿線上をじっと見つめていた。  彼女が見つめる先には澄男(すみお)たちがいた。だが彼らは彼女の存在に気づくことはない。澄男(すみお)たちの中でも飛び抜けた探知能力を持つむーちゃんでさえ、その存在を感じとれないほどに彼女の霊力は軽微に抑えられていたのだ。  今の彼女が内包する体内霊力は、一般人と大差ない。 【身体能力スキャン。北支部主戦力と暫定。現在での勝率十五パーセント】  地中から蘇ってまだ一日も経っていない。だが既に、中威区(なかのいく)に点在する戦力。そして一定の武力を持った組織を把握していた中威区(なかのいく)の東西南北それぞれにある任務請負機関直属の支部、北支部、南支部、東支部、西支部には、それぞれ一定の戦闘能力を持った人間が多数在籍していることを把握した。  全体的な水準は低いが、各支部のトップに君臨する実力者は、上威区(かみのいく)に在籍する上位の戦闘能力保持者に見劣りしない。むしろ大幅に上回る個体も見受けられた。  現在監視しているのは北支部に所属していると推測される者たちだが、彼らの全能度の平均は約八百五十五。対して現在の自分自身の全能度は、あまり芳しい状態ではない。 【現時点における全能度は六百二十。性能が不足しています】 【腐敗した肉体組織を除去、新たに採取した肉体組織との生体融合を実行中】
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