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ここで、精神世界に作られた真っ白い椅子に深く腰掛けていた金髪野郎が身を起こす。
トト・タート―――こと``猫耳パーカー``を見つめる目は、猫耳パーカーが俺を品定めしてきたときと同じ視線。不敵な笑みを浮かべながら、猫耳パーカーをじっとりと見つめる。
「私の友人っす。結構腕っ節が強くて、余程のことがねー限り負けはしねーんで」
「ほう? そんな隠し玉みたいなのがいるなんざ初耳だがな」
「まー、私の個人的なツテなんで? しらねーのもどーりじゃねーすかね」
猫耳パーカーは、ねっとりとした品定め視線を真っ向から受けながらも、顔色一つ変えず身構えもせず、ただただ涼しい顔で金髪野郎の応酬に対応する。
にべたいジト目と金色の視線が交わる。なんだか、ものすごく割り込みにくい雰囲気が精神世界を支配した。
正直面倒くさいような気がすると本能が訴えかけているので聞くだけに徹したいところだが、このままだと膠着状態が続いて息が詰まりそうだ。
御玲や澄連も動く気配はない。俺は盛大にため息をつく。面倒ごとを押しつけられた気分である。
「ゲ、ゲフンゲフン!! 要するに、そっちはそっちで対処できるから情報の擦り合わせだけやるって感じでいいんだな?」
わざとらしい咳払いで場を濁しつつ、齟齬のないようにとりあえず確認を促す。後からグダグダ言われて後手に回るのを避けるためだ。
正直な話、南支部のところへ援軍に行かなきゃならんとかだと面倒だし、御玲たちを差し置いてそんな真似はする気もなかったから、できるなら向こうは向こうでなんとか乗り切って欲しい。
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