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疑問が尽きない俺と御玲に対し、我らが愚弟にして万年研究者気質の久三男はさも当然の事と言わんばかりに断言する。
『召喚は何も有機生命体に限った話じゃないよ。たとえば地中の奥底に埋まってる特定の無機物を魔法で探り、自分の目の前に転移させるように詠唱すれば、それはある種の召喚とも言えるし』
『ああー……言われてみれば、俺らの食料だってつい数日前までは分家派の連中から転移で送ってもらってたしな……転移魔法で無機物を呼び寄せることもできるのか……』
任務請負人として働く前の生活を思い出す。
俺は流川本家派当主。分家派の連中に頼めば、欲しい食料を注文して転移で輸送してもらうというなんとも坊ちゃんくさいことができていた。
今でこそ働き始めて自分で飯の材料を買うようになったが、今思えば転移させるのは何も人や生き物だけじゃない。転移魔法と聞くと``遠い場所に一瞬で移動できるクソ便利な魔法``って認識があるから先入観に囚われていたが、ただの物だって転移させることは可能なのだ。
そう考えれば、地下に埋まっている金銀財宝とかを魔法で特定して、それを転移させることができたなら、財宝召喚みたいな感じに転移魔法を扱うことは、何ら不思議なことじゃない。俺も御玲も異論なく腑に落ちた。
『まあでもたとえば召喚者に何かしらの眷属がいて、眷属召喚の能力を持っている。とかも十分ありえるけどね』
腑に落ちた、とせっかく分からなかったことを自分なりに理解した上で飲み込もうとした矢先の何気ない発言。唐突に理解が追いつかないことを言うから、俺の脳が悲鳴をあげ始める。
『たとえば上位機種に``下位機種を無条件で服従させられるプログラム``があるなら、下位機種召喚だってできるかもしれないよ? その場合、上位機種にとって下位機種は``眷属``だし』
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