2人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやだからなんで? 誰が決めたのそんなルール」
「機関則に書いてあるわ!! 緊急時は支部で手綱持ってる奴の指揮下に入るのが決まりなんだよ!! 全員が勝手な行動してたら解決するもんも解決しねぇだろ!!」
唐突の大剣幕。毛が抜けちまうんじゃないかってくらい頭を強くかきむしり、椅子に深く腰掛ける。
「たく、今回の新人はマジで世話が焼けるぜ……」と小言が聞こえたが、そんなこと言われても知らんものは知らんのである。
確かに機関則なんざあんまり興味ないのは事実ではあるんだが、正直、今は機関則なんぞ問題にしている暇はない。
『御玲、困ったことになったぞ。多分あの金髪野郎の作戦に乗ってたら確実に後手に回る』
もう万策尽きた。俺の脳筋では限界なので、御玲と澄連に霊子通信を飛ばす。
金髪野郎たちは敵が数千体以上もの軍勢を率いていて、更には俺らが戦った連中よりも強い敵がいるかもしれないって事実を知らない。軍勢は既に進軍を始めていて、もう悠長に話している時間も本来ならないのだ。
今回は完全に敵の方が何枚も上手だった。誰にも悟らせず、国の外で数千もの手下を召喚して戦端の火蓋を切ろうとしている。もしも数千もの軍勢を支部の連中だけで相手取るなら、確実に犠牲は出る。それも最小限とかではなく、かなりの数の犠牲が。
金髪野郎たちは確かに強いが、百足野郎を入れても数は二人と一匹。数千もの軍勢による侵攻を完璧に抑え込むのは無理だろうし、そうなれば支部は壊滅だ。それは金髪野郎たちが生き残ったとしても、戦略的敗北に等しい。
だが残念なことに、それを金髪野郎たちに伝える術がない。言ってもさっきみたいにどこ情報とか言われて信じてもらえそうにないのだ。俺が新参者だから尚更だろう。
最初のコメントを投稿しよう!