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クソが。なんでここは新参者に優しくないんだ。
『当たり前じゃないですか。あなただってぽっと出の人に信憑性のないことをあれこれ言われたくはないでしょう?』
おっと、感情が昂りすぎて霊子通信に俺の表層心理が湧き出てしまったようだ。心を強く持たないと本音がバレてしまうな。
『こほん。話を戻すぞ。それで後手に回るから俺らは俺らで行動したい。どうする?』
『この状況で私たちだけ別行動をとると提言するのは困難ですよ。機関則で決まっている以上、勝手な行動をして被害を拡大させたら処罰は免れませんし』
『そりゃそうだが、このままだと確実にこの支部壊滅するぜ? あのロボットの軍勢が数千。生き残るだけならまだしも、支部防衛も視野に入れるなら敗北は避けられねぇ』
『確かにそうですけど……』
『あの、ちょっといいっすか』
ずっと聞き役に徹しているカエルが、精神世界内で手を挙げる。話聞いてたのか、と半ば感心しつつ、カエルに視線を投げつける。
『思うんすけど、オレらって使い魔ポジなんすよね? だったらオレらを先遣隊として出撃させるってのはどうすか?』
いつもと打って変わって真剣な表情のカエルに、俺と御玲は顔を見合わせる。正直いつもがいつもなだけにイマイチ期待できないのだが、他に名案もない。聞くだけ聞いてみることにする。
『久三男さんの情報は確かに正しいっすが、それを表立って彼らに言えねぇって話でしょう? だったらオレらが直に見てきて、事実をありのままあの二人に伝えればいい。なら彼らも彼我戦力を見直して、作戦を立て直すやもしれないっすよ』
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