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カエルにしては冴えてんな。俺は素直にそう思った。
カエルの言うとおり、久三男の存在を大っぴらにすることはできない。俺らが流川の者であることがバレる可能性が出てくるし、なにより久三男の存在は秘中の秘だ。身内以外に話すワケにはいかない存在である。
だがカエルたちこと澄連は俺らの使い魔というポジションにある。俺が派遣を指示して戦力を見極めさせれば、金髪野郎たちもおそらくだが正しい彼我戦力を認めるだろう。
任務請負証で俺らの力を推し測ったのなら、澄連がただのぬいぐるみ集団じゃないことも理解しているはず。怪しむことあれど、蔑ろにはしないだろう。
『ならそれでいくか?』
『お待ちを。その方法は私も賛成ではあるのですけれど、正しい彼我戦力を彼らが認めたら、尚更ここから動くことを禁ずるのでは?』
御玲の言い分を交え、未来を予測する。
敵の戦力は支部側からすれば圧倒的だ。たった一体のロボットを倒すのに、その支部の最強格が出張らなければ相手にならず、最強格以外は事実上の戦力外という体たらくである。
たった一体でこのザマなのだから、数千もの軍勢に侵攻されたら一瞬で潰されてしまうだろう。
今でこそ金髪野郎たちは彼我戦力を正しく把握してないからかなり落ち着いているが、俺が澄連を派遣し正しい彼我戦力を伝えたら、尚更意固地になってここから俺らを動かせないようにする可能性がある。俺や御玲が抜けるだけで、支部の守りはかなり手薄になってしまうからだ。
彼我戦力に絶望的なまでの開きがある以上、戦える奴は少しでも手元に置いておきたいと誰でも思うはずだし、それは金髪野郎だって例外じゃない。
とどのつまり、結局は説得が必要ってワケなのか。
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