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俺らのときは出会った瞬間に襲いかかってきた印象だった。だから俺の中では視界に入った奴は無差別なんだろうなと勝手にイメージしていたのだが、実際は違うらしい。
弥平と久三男の話だと、敵対行動をとった住民にすら反応せず、ただただ各方角にある支部を目指していて、現状は戦闘行為に一切及んでいないとのこと。
ただし数がとにかく多く既に郊外まで侵攻されてしまっており、その莫大な物量で町中を埋め尽くしているのだ。
どんな感じなのか、航空写真を見れば分かる。隙間なく敷き詰められたロボットたちの絵面に、思わず酔ってしまいそうだ。
『そういえば澄男様、本部はどういう動きで?』
俺に向かって真剣な眼差しを向ける。
弥平は俺らよりも先に本部昇進を果たしている任務請負官なのだが、平時は巫市の内偵任務に就いているため、任務請負官としての立場はあまり利用していない。急遽呼び戻したから状況を把握できていなかったのだ。
つくづく悪いことをしたなと思いつつ、淡々と答えた。
『ついさっき動いた。なんか火災報知器みたいなサイレンが鳴り響いたと思ったらよ、フェーズS任務発令とかよく分からんアナウンスが鳴ってうるせぇのなんの』
頭の中で火災報知器のサイレンが反響し、思わず顔を顰めながら精神世界で耳穴をほじくる。
俺が澄連を派遣し金髪野郎たちにやっとのことで言い訳し終えた頃、事が動き出した。任務請負機関本部が万を超えるロボットの軍団に緊急性があるとようやく認識し、全ての支部に緊急任務を発布したのだ。
フェーズS緊急任務ってのは、武市内の都市機能を大幅に麻痺させる恐れのある脅威の討伐・撃退を目標とする超高難度任務を指す。
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