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金髪野郎や御玲の話だと、こうなると本部の請負人が出張り、彼らが支部の請負人の指揮を取るのだとか。となると俺たちはその本部の請負人の指揮下に入らされることになる。
『チッ。何処の馬の骨とも知らん奴の指揮下に入るなんざ癪だが、独断専行は最終手段だし、この際割り切るっきゃねぇか……』
『それが賢明かと。どうしようもない場合は素性を明かすリスクを背負って動くべきですが、現時点では早計です。戦況把握を厳としましょう』
秘匿された霊子空間内で、全員が首を縦に降る。
『では澄男様、私は引き続き捜査を再開します』
『待て弥平、お前一人じゃ危険だ。俺から一匹派遣するから上手く使え』
俺は早速密偵をしにログアウトしようとした弥平を引き留める。
弥平は決して弱くはない。肉体能力では御玲と並び、人類では最強クラスの肉体を持っている。分家派当主ということもあり、戦闘技量もこの中ではピカイチである。密偵という地味な役柄とはいえ、大概の相手に負けることなどそうそうないだろう。
だがそれは、あくまで大概の相手―――バケモン以外の強者ならばの話である。
弥平は俺みたいに不死ってわけでもなければ、澄連みたいに純然たる人外ってわけじゃない。その強さは人類の中で最強クラスというだけであり、バケモノに太刀打ちできるほど強くない。
相手は未知の何かだ。そんなことはあってほしくないが、もしかしたら俺たちの想像を超える怪物の可能性もある。もしもそんなのに戦わなきゃならなくなってしまったら、果たして生きて帰ってこられるだろうか。
弥平はその役柄上、どうしても敵地へ先遣する場合が多い。人間であることも相まって、俺達の中で最も戦死する可能性の高い戦士である。
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