赤鉛筆

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赤鉛筆。 押入れの掃除をしていたら、1本だけ、ひょっこりと出てきた。 随分と使い古した、長さ3cmの赤鉛筆に、私は記憶を蘇らせた。 赤鉛筆。 小学生の頃、よく使ってたなって、昔を思い返す。 そういえば、赤青鉛筆、なんてものがあったっけ。 赤色と、青色が、半分ずつ、くっついてる、あの鉛筆。 大体、最初に無くなるのが赤色で、青色可哀想って、思ってた。 赤鉛筆。 オジサンが持ってるイメージがあるのは私だけだろうか。 新聞片手に、赤鉛筆を持ってるの。 あ、赤鉛筆を耳に掛けているオジサンも浮かんできた。 赤鉛筆。 赤鉛筆を見ると、花丸を思い出すの。 普通の丸じゃ物足りなくて、花も書いちゃうの。 花丸シールも、何か特別だったっけ。 真ん中に、たいへんよくできました、って書いてある、あのシール。 あの小さなご褒美に、心を踊らせたよね。 赤鉛筆。 私はその赤鉛筆を拾い上げ、小さな缶にそっと入れた。 カランという音。 それをまた、押し入れの奥にしまっておいた。 私が大人になって、 赤鉛筆の思い出を開けた時、 その小さな世界を、思い返せるように。
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