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笑いを含んだ声が恥ずかしく、奈々は可愛く言い返す。
「ち、がいます、これは部長が……」
キスがうますぎる、といいかけて言葉を飲み込んだ、なんとなくそんなことは認めたくなかった。しかし悟志とも感じたことのない高揚感に期待と怯えが入り混じる。
「なんだ?」
友弥が促すが、奈々はなんでもないです、と誤魔化す。友弥はそれを追及はしなかった。
左腕で奈々を固定したまま、覆い被さるようにして再度唇を重ねる、それだけで奈々はもうに逃げられないと思った。唇は角度を変えて何度も着いては離れる、その度に興奮が体の底から湧いてくる。
服の上から友弥の大きな手に乳房を揉まれて、深い溜息が漏れた。
(もっと──)
奈々の心を察したのか、友弥の手はパジャマの上衣の裾から侵入した。大きな手が直接腹に触れただけで脳がクラクラした、その手は肌の感触を確かめただけでさらに上がり、胸のふくらみを包み、その先端までこすられると体は勝手にのけぞってしまう。
その喉に友弥がキスをする、熱い唇と舌を這わされて体が沸騰する感覚を覚える。
大きな声が出そうになって手の甲で口を押えた時、カーテンが開けっ放しなのを思い出した。
「部長……カーテン、閉めましょう……」
言うと友弥は奈々の首筋を左手の指でなぞりながら答える。
「こんなところ、誰も覗けないだろ」
初めて15階の海が望める部屋でよかったと思った。
「そお……ですけど……」
気分の問題だ、露出狂ならともかく、見られているかもなどというドキドキは味わいたくない。
「また呼んだな」
「なに、を……」
指先は今度は脇腹をくすぐる、その意味がわかった。
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