みみちゃんのクモ

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　昔々、一匹のクモが公園にいました。

　クモは人間が嫌いでした。大嫌いでした。

　人間はすぐに虫をいじめる。そしてクモもその一匹でした。なにもしていないのに怖がられ、怯えられ、あっちへ行けと言われる。それがクモにとって嫌なことでした。

　クモにはじめじめした影がお似合いなんだ。そう、言われたこともあります。クモが人間の言葉がわからないと思ったら大間違い。クモにだって、言葉はわかります。

　赤ちゃんだって、しばらくしたら言葉を覚えるでしょう？　それと同じでクモも言葉がわかるようになったのです。

　だから人間からそう言われたとき、クモはものすごく悲しくなりました。泣きたかったけど、泣いたらなにか言われそうだから、泣きませんでした。

　それから、クモは人間と仲良くしませんでした。人間が近づいてきても、怒ったりしてあっちへ行けと言います。透明な糸で巣を張って、クモのおうちに引きこもりました。

　クモ以外、だれも近づけないおうち。触ったらネバネバして、気持ち悪いおうち。

　そんなある日、クモのおうちに一人の女の子がやって来ました。

　女の子の名前はみみちゃん。髪をふたつに結んだ、それはそれは可愛らしい女の子です。

「クモしゃん」