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「ダメでしょ、みみ!」
お母さんはみみちゃんに怒りました。でもみみちゃんはどうして怒られているのかがわかりません。みみちゃんは不思議そうにお母さんを見て、楽しそうに笑いました。
「ね、ね、おかあしゃん。クモしゃん」
「うん、クモさんだね。でもね、みみ。クモさんを触っちゃいけないのよ」
「どーして?」
「バッチぃでしょ?」
クモはその言葉を聞いて、悲しくなりました。やっぱり人間は全員同じ。だから嫌いなんだ。
「そんなことないよ?」
クモはみみちゃんを見ると、みみちゃんは不思議そうにお母さんに言います。
「クモしゃんは、バッチくない。キレイだよ」
その言葉にみみちゃんのお母さんはポカンとしました。クモもポカン。
お母さんは困ったように笑うと、みみちゃんを連れておうちに帰ります。それを見ながら、クモはうれしそうに笑うのでした。
次の日も、その次の日も、みみちゃんはクモのところへやって来ます。やっぱり「クモさん」ではなく、「クモしゃん」と言いながら。
いつしか、クモもみみちゃんのことが好きになっていきました。人間はみんな一緒だと思っていましたが、そうじゃない。みみちゃんみたいな子だっている、そう思うようになりました。
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