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人間全員を嫌いにならなくていいんだ。みみちゃんはクモにそう思わせてくれました。クモは人間を好きになっていきました。
「クモしゃんは、どーしてここにいるの?」
クモは言葉がわかっても、声にすることはできません。だからみみちゃんともしゃべれないのです。ですが、みみちゃんに伝えようと、クモはいろんなことをしました。言葉がなくても、伝えられる方法はきっとあるはずです。
ですが、やっぱりみみちゃんには伝わりませんでした。みみちゃんは動いているクモにくすくす笑っています。
「みみね、クモしゃんは真っ暗なここより、お日さまがあるところの方がお似合いだと思うんだ」
みみちゃんはまぶしい笑顔で言うと、クモはうれしくなりました。初めてそんなことを言われたからです。いつも影がお似合いだと言われてきたクモにとって、それはそれはうれしい言葉でした。
「みみね、クモしゃんとお友だちになりたいの」
みみちゃんはクモにそう言うと、クモは体を動かします。みみちゃんはそれを見て、またくすくす笑いました。
「クモしゃん、いいよって言ってるの?」
みみちゃんはそう聞くと、クモはまた体を動かします。伝わって、と思いながらクモはみみちゃんに言葉を伝えました。
「ふふっ、うれしい。みみ、クモしゃん大好き」
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