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みみちゃんはそう言うと、クモは照れたように笑います。
みみちゃんと出会って、クモの世界は変わりました。お日さまが当たったように気持ちいいです。昔は影みたいに寒くて、嫌いだったのに、今ではあったかい。みみちゃんに出会えて、本当によかったとクモは思いました。
それからというものの、クモはみみちゃんに会えるのがさらに楽しみになりました。
ある日、一人のおばあさんがクモの前にやって来ました。クモはこのおばあさんを知っています。おそうじのおばあさんです。いつも子どもたちが楽しく公園であそべるように、キレイにする人でした。
おばあさんはクモの前にやって来ると、嫌そうにクモを見ます。いつもクモが見られていた、あの目です。大嫌いな目でした。
するとみみちゃんがやって来ます。お母さんも一緒です。
「クモしゃん!」
うれしそうにクモを呼ぶと、お母さんがみみちゃんを止めました。
「みみ、あっちであそぼう」
「でもクモしゃん」
「クモさんは、またあとで」
それからみみちゃんを遠くへと連れていくと、クモはおばあさんを見ました。
おばあさんはゴソゴソと荷物を漁ると、一つのキラキラしたものを取り出しました。細長いそれにクモは頭の中がはてなでいっぱいになりました。
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