気になる扉[浅井町]

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 ドラえもんに出てきそうな空き地がある。  一面だけ道路に面していて、あとの三ヶ所は一般宅の塀で囲まれた、長方形の雑草だらけの平地だ。もっとも違うところはある。土管はまったく置いてないが、なぜかドアが、扉が、道路に面して立っているのだ。  扉は外枠とともに設置されていて、ノブを回すと開け閉めもできる。それこそどこでもドアを連想してしまうが、デザインは木製の、社長室に付いていそうな風格のある扉だ。  そんな空き地を見下ろす、道路を挟んで反対側に建っているアパートの二階に俺は住んでいる。  御時世により人員削減に引っかかってしまい、明日はどころか今日も何をしようかと思いあぐねる毎日を送り、暇つぶしに何気なく空き地を見ている。 「なんであんな所に立っているんだろ」  働いている時は全然気にならなかったが、時間があるせいか妙に気になりだした。  今どきの子供でも外で遊ぶ子はいるらしい。下校時間のあとくらいになると近所の子供達が遊びに来る。扉を無視して道路面の好きな所から入ってくる子がいれば、礼儀正しく扉を開けて入っていく子もいる。  そして日が落ちかける頃にはめいめいに帰っていく。なんの変哲も無いただ立っているだけの扉だ、だが妙に気になる。俺は部屋を出て扉の前に行ってみた。  
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