気になる扉[浅井町]

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「では、質問をどうぞ」  言葉に気をつけて当然のようにここはどういうところかと尋ねた。真ん中の席の男が答える。 「君が苦労して入って来たのは、栄光への扉と呼ばれている。好奇心を持って理不尽ともいえる仕打ちにも負けずに入ってこられた者だけに成功へのノウハウを伝授する。そんなところだよ」 「では私は合格なのでしょうか」 「もちろんだとも。成功への道はいろいろと有る、君の特性に合わせたコースを提示するので選んでくれたまえ。それに合わせて伝授するから」  数年後、私は人材育成の会社を設立した。そしてあの空き地を買い取りビルを建て、あの扉を社長室の壁に設置した。  私の特性は人材育成の才能だった。自分にその才能があると示唆されれば、それにまい進できる。成功への道は最短で行けた。  そして今は良きサポートをしてくれる人材が欲しい。見込みのありそうな人をあの扉に向かわせるのだが、今のところあの人達に会えたものは誰もいない。 ーー 了 ーー
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