もういいよ。

12/36
前へ
/36ページ
次へ
毎日毎日、くだらない日々の繰り返しだ。この世界はどこを見てもくだらない事で溢れている。 「おい、お前やめろよ!」 「投げんじゃねーって」 ぎゃはは、と下品な笑い声が鼓膜に纏わりつく。斜め後ろの席の奴らが騒ぎ立てている声だ。何が面白いのか、授業中なのにも関わらず消しカスを投げ合っている。行動が幼稚すぎて理解に苦しむ他ない。 生物を担当している教師はどれだけ授業中に騒ごうが寝ようが、何ひとつ注意を寄越してこない事で有名だった。そのお陰でこいつの授業の時間は毎回 無法地帯のような有様だ。 毎日毎日、来る日も来る日も、まるで動物園のように生臭く、五月蝿い箱の中に詰められている。地獄としか言いようがない。学生の頃が一番輝いているだなんて、そんな事を口走った奴は相当頭が可笑しいと思う。 予備校で事足りているから授業なんて別に聞かなくてもいい。むしろ真剣に聞いている時の方が少ないだろう。 だから別に、誰が騒いでいようと関係ない。どれだけ教師の声が遮られようと、大した事じゃない。 これでもかというくらいにシャープペンを握り締めた手が、小刻みに震える。 「ぶっは!お前ムービー撮ってんの?うける」 ──だから全部聞き流せばいい。 「はーい、授業中でーす!!」 ──耐えろ。 「うえーい」 ──……耐えろ? なんで俺が。 なんで俺が、こんな奴らのために耐えなきゃいけねえわけ?
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

162人が本棚に入れています
本棚に追加