もういいよ。

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「これ後で動画サイトにアップしようぜ」 「お、いいね!あれってイケメンとか映したらバズるよな?」 「確かに。白鳥とか良くね?」 ガタガタと席を立つ音が聞こえた後「なあ白鳥」と背後から俺に向けられた声が響いた。 「ちょっとムービー映ってくんね?」 ぽん、と肩に手を乗せられて、張りつめていた糸がプツン、と切れた。 「お前らさ、ちょっと黙れないわけ?」 薄汚いその手を振り払いながらそう言えば、目の前の男は「はぁ?」と半笑いしながら顔を歪めた。 「なになにどーした?笑顔が取り得の優等生くんが何キレちゃってんの?」 小さな絶望の積み重ねが人間を成長させるのだと聞いた事がある。だとしたらこいつらには、その“絶望”が圧倒的に足りていないんだろう。 ゆっくりと立ち上がって、俺よりも低い位置にある顔を見下ろす。お世辞にも整っているとは言い難い顔だ。ひん剥いた鼻がなんとも滑稽で、見る秒数が増せば増すほど笑えた。 伸ばした手でそいつのネクタイを掴み、ぐんっと此方に引き寄せる。 耳元に顔を寄せ、軽薄な声で囁いた。 「そんなんだからいつまで経っても女抱けないんだよ、お前」
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