もういいよ。

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ガタンッと大きな音を立てて立ち上がれば女はびくりと身体を震わせた。それに構う事なくその白い腕を乱雑に掴み、教室を後にする。 「しっ、白鳥くん」 大股で廊下を突き進む俺の後ろを腕を引っ張られながら小走りで着いてくる女は焦ったような声を出す。 苛々する。全てに。 「あ、あの…っ」 「……」 「どこに、」 「ちょっと黙ってくんない?」 耳障りな声をぴしゃりと遮れば途端に背後は静かになった。俺とその女の足音だけが廊下に響き渡る。 苑田という女が次に言葉を発したのは、俺の家のドアを開けた時だった。 「あの…此処って…」 「俺ん家」 警戒でもしているのか、玄関になかなか足を踏み入れようとしない女の腕を引っ張り「早く靴脱いで」と急かす。 ローファーを脱いだ女の手首をしっかりと掴んだまま階段を上がり、自室へと向かう。 床に鞄を置きブレザーを脱ぎ捨て、それがバサリと着地したベッドに腰を下ろす。俺の前で落ち着かなさそうにきょろきょろと首を動かす女の腕を思い切り下に引っ張れば、「きゃ」と声を上げながら俺の前に膝を突いた。 「咥えて」 短く放った俺の言葉に女はぽかんと口を開けたまま「え…」と間の抜けた声を零す。掴んでいたその白い手を自身の脚の間にグッと押し当てた。 「分かんない?これ、咥えてって言ってんの」 「っ白鳥く、」 「出来ないわけないよね」 馬鹿らしい。 「俺の全部が好きなんでしょ?」 こんな言葉、口にするのも心底馬鹿らしい。
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