もういいよ。

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一応言っておくけれど、理科の実験の時に“見てるだけでいい”って言ったのはこいつが余りにも使えなさそうだったから。足手纏いになる前にその枠から抹消しただけだ。体育の準備の時もその理由と然程変わらない。休んでる時のプリントを纏めたのだって担任に頼まれて仕方なくやっただけだし、美術のペアにこいつを選んだのはただ単に描き易そうだったから。 なのにこの女はそんな事知りもしないで俺が好きだなんて言う。俺の全部が好きだなんて馬鹿げた事を口走り、今まさに俺の性奴隷に成り下がろうとしている。 「あ、の…白鳥くん…」 「なに」 「私、その…こういうの、したこと、なくて…」 だろうな。 どこをどう見たってこの女にそういう経験があるとは思えない。わざわざこんな地味な女を好む奴の気が知れない。趣味悪すぎんだろ。 「俺が教えるから、苑田さんは口開けて咥えてればいいよ」 クソほども役に立たなさそうだからな、という言葉はなんとか喉の奥に押し込んだ。
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