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「わかった!石井君、完全燃焼しよう!」
「いや、別に不完全燃焼だったわけじゃないよ。やれるだけのことはやったから」
「そう?じゃ、また打ち込めること作ろう?若いんだし」
自分も若いのに、母親みたいなことをいう。
「座って。こう抱えて。左手に気持ちを宿して、右手にピーーーック!」
「中二病か、間宮」
俺はなんだか気恥ずかしくなった。
「こうして、こう、違うよ、押さえるのはこのへん。そうしないと余計な力がかかって疲れちゃう。で、右手はこう」
間宮の手さばきは魔法のようだ。
繊細で小刻みな動き。
あの軽やかな音が次々に紡ぎ出される。
見るのと弾くのは大違いで、俺はまともな音を出すことすらできない。
「ごめん、間宮。俺にはどうにも無理だと思うよ。右手と左手が違う動きをするなんて、それだけでぐちゃぐちゃになる」
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