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「ちょっと…そんな言い方しなくても…。舞子にだって色々とあるんですよ」
「高校生の小娘がこんな時間まで遊び歩く事情など聞く価値もないだろう」
「舞子もようやくお友達が出来て学校生活を楽しんでいるんだから、少しくらい大目に見てもいいでしょう?」
「楽しんでいる?髪を染めて化粧をして、毎日遅くまで遊び歩く事がか?全く馬鹿げているな。そもそもお前がそうやって甘やかすから、こんな出来の悪い娘に仕上がったんだろう」
「な…っ、私の所為だと言うの?!」
箸を握り締める手が震える。
ギリギリと音がしそうなくらいに強く握っても、その震えは治まるどころか酷くなるばかりだった。
頭が何かで殴られているようにガンガンと痛くて仕方ない。
このまま気を失えてしまえば楽なのに。
ヒステリックな声と冷淡な声を引き裂くようにドアが開く音が再び響いた。
その音はただでさえ地獄だったこの空間が一層地獄と化した事を告げていた。
「ちょっとぉ~何ぃ?パパもママもどうしたの?」
ピリピリしたこの場の空気に似つかわしくない、あっけらかんとした声が響き渡る。
半分開けたドアから中を窺うようにひょこりと顔を出しているのは姉の結子だった。
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