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「…本当なの?」
少しの沈黙の後、華凛の大きな瞳がギロリと此方に向いた。
華凛がこういう瞳をしている時は怒っている時だ。
それに気づいてしまった私の心臓は更に不穏な音を奏でた。
「ちがっ」
「はぁ!?あたしらが嘘言ってるって言いたいの!?」
絞り出した声もミサキの大きな声に呆気なく遮られる。
――私が否定したところでどうなるんだろう。
そんな考えがふと頭を過った。
私の言うことなんか誰が信じてくれるんだろう。どう考えたってマユやミサキの方が発言権がある。
可笑しいな、辻褄が合わないな、と思わせたとしてもそれを丸め包めるくらいの強さがある。
「ちゃんと本当のこと言いなよ」
華凛の声が耳を掠める。
そんな事を言ったところで誰が聞いてくれるっていうの。一体、誰が。
どうせ華凛にだって分からない。
欲しい物を全部手にしてきたような華凛には私の気持ちなんて分からない。
分かるわけがない。
どうせ華凛だって私を見下してるんだ。
「あんたさ、口ないの?」
だから、そんな目で私を見れるんでしょ。
――気持ち悪い。
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