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ふと何処からか聞こえてきた声に顔を上げると、目の前にはひとりの女の子が居た。
アイプチが塗りたくられた目、可哀想なほどに潰れた鼻、ぼてっとした唇。金に近い茶髪の髪はパサパサしていて見るからに指通りが悪そう。
お世辞にも可愛いとは言えないその子は私をじっと見つめている。
「どうして泣いてるの?」
同じ質問を投げかけてくる。少し舌足らずな口調が耳障りだと思った。
「あなたに関係ないでしょ」
半ば睨むような眼差しを向ければ、その子も私を真似るように眉根を寄せて厳しい顔つきになった。
「そんな悲しいこと言っちゃダメだよ」
「…なんであなたにそんなこと言われなくちゃいけないの」
「だって私たち、友達でしょ?」
「…ともだち?」
ハッと、鼻から息が抜けるような笑いが零れた。
「なにそれ、馬鹿馬鹿しい」
「……」
「私に友達なんていない。そんなものいらない」
ほしくない。
そう続けた私に目の前の女の子はこくりと小さく頷いた。
「そうだね。きっと華凛にはあなたの気持ちなんて分からないよ」
思わず目を見開く。どうしてこの子の口から華凛の名前が出るのか、理解が追い付かずにただ目を見張る私にその子は矢継ぎ早に言葉を続けた。
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