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ズキズキ。
鈍い痛みを放つ、頭と腕。
腕の痛みは気にならないけれど、頭の方はとても煩わしい。
今日は朝から気分が最悪だ。
私の大嫌いな雨が昨晩からバケツをひっくり返したようにザーザーと降っていて、空はどんよりと曇っていた。
この気圧の所為で偏頭痛を起こしている事は目覚めた時から分かっていた。
自分の身体のことは自分が一番理解している。
「濱田舞子さーん」
間延びした声が響く。
ああ…そういえばそんな名前だったっけ、私。
そんな事を思っていた私の腕を急かすように掴んだ母親と一緒に、促された部屋へと入った。
指示されるままに絵を書かされたり、訳の分からないアンケートに答えさせられたり、医者だと名乗る男に質問攻めに合わされたり。
この部屋に行き着くまでに随分と面倒な事をさせられた。
もう既に疲れ切っていた私は抗うことなく用意されていた椅子に腰を落ち着かせる。
右隣に母親、そして向かいには質問攻めしてきた医師。
その医師は挟んだテーブルの上に並べられた紙切れを見ながら、
「イマジナリーフレンドですね」
開口一番にそう言う。
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