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「母親が言う通り、私はおかしいんだと思います」
久しぶりに自分の声を聴く。
「どうしてそう思うんだい?」
「夢を、見るんです」
「…夢?どんな?」
「家族全員を殺す夢です」
窓の向こうで、雨が地面を叩きつけている。まるで何かに憤りを感じているような、そんな音に聞こえた。
「先ずは父親から手を掛けます。まるで私をゴミのように見てくるその目を抉り取ってやりました。それだけでは気が済まず、後に心臓も抉ります。そんな光景を見て半狂乱で泣き叫ぶ母親が煩くて、金槌で頭を真っ二つに割りました。そして二階に上がり、寝ている姉の顔を包丁で滅多刺しにします。何故って?私が欲しかったパーツを全て揃えているその顔が憎くて仕方がないからです。両親から熱い愛情を注がれている弟はそのまま燃え尽きてしまえばいいと思ったので灯油を浴びせ、火達磨にしました」
「瞬く間に火に包まれ、どんどん灰になっていく家を見上げる血塗れの私は、いつも笑っています。お腹を抱え、地面を這いずり回り、楽しくて仕方がないと言わんばかりにはしゃいでいます」
「そんな夢を見るんです。一度や二度じゃありません。何度もです。数えきれないくらい、何度も」
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