夜もすがら

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『舞子も塗ってみる?』 『んなの気にしないって』 『何ぼうっとしてんの。次体育だよ』 『遅かったじゃん。大丈夫?』 どうして今、華凛の顔と言葉ばかりが頭に浮かぶんだろう。 ちがう、聞かれているのは“明音”のことだ。 華凛じゃない。 華凛じゃない、のに。 『…3人?舞子のは?』 私は、 私は、 「…く……」 私は、“華凛”と……。 「…クレープ…を、食べに…行きた、くて」 「……」 「…キー、ホルダ…っ」 その先は、声にならなかった。
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