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「っだって仕方ないじゃない!!!」
叫びにも似た声を上げながら机の上のものを振り落とした。私を“異常”だと決めつけるそれらがバサバサと音を立てて床に散らばる。
――分かってた、最初から、全部全部。
私は華凛の唯一の存在にはなれない。
華凛に釣り合えるような人間にはなれない。
きっと小さな歪が出来てしまえば最後、もう華凛の側には居られなくなる。
その日はいつ来るんだろう。ひょっとしたらそんな日は来なくて、ずっとこうして笑っていられるかもしれない。でももし、私に笑顔を向けてくれるのが今日で最後だったら…。
そんな不安と常に背中合わせで、頭がどうにかなってしまいそうだった。
ただ私も、みんなとクレープを食べに行きたかった。みんなとお揃いのキーホルダーが欲しかった。
たったそれだけだけで、良かったのに。
「何処にも無かったの!!!!!」
この世界の、何処にも。
どんなに手を伸ばしても届かなかった。
どんなに目を凝らしても見つけられなかった。
みんなが当たり前のように手にしているその存在が、私には何処にも無かった。
「だから創ったの!!!“明音”をっ…!!!」
私の為に泣いて、私の為に笑ってくれる。
そんな、“友達”を。
自分で創るしか、なかったの。
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