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現実への絶望と空想への羨望。
綯交ぜになったそれらが、私の頬を幾つも濡らしていく。
「…っう、…ぁ…っ」
馬鹿馬鹿しい、くだらない。
こんな都合のいい話し、ありえない。
あるわけがない。
そう思うのに。
それでも…
「っぁ、…あああぁ――…っ!」
望むことをやめられない。
この世界の何処でもいい。
何処でもいいから、どうか、こんな風に優しい色に満ちた空間がありますように。
自分が吐き出した息に窒息してしまう前に。
自分が刻む鼓動に蝕まれる前に。
どうか私も、そこへ辿り着けますように。
もしそんなもの何処にもないと言うなら、
私を創作の世界へ連れて行って。
そう願わずにはいられない夜だった。
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